旅はどこから始まったのか
職業柄色々な場所を訪ねているが、そもそも仕事はさておき旅をすることが好きだ。それは友人と母の影響であろう。大学生で留学していた頃、友人とイギリス国内やオーストリア、ハンガリー、フランスなどを旅行した。留学を終える間際には母とフランスのシャルル・ド・ゴール空港で待ち合わせ、パリとイタリアの主な町を訪れた。その際初めて使ったのが格安航空会社のeasyJet及びJet2.comだ。欧州ではアイルランド籍のRyanairをはじめ、格安航空会社が当時既にかなり利用されていた。2003年に留学したときは1年オープンの航空券を知り合いの旅行代理店に頼んで購入したし(BAの成田-ヒースロー往復航空券が一番安くて当時30万円くらいだったはず。オープンだから高かった…)、それ以前の家族旅行でも旅行代理店を使用していたので、インターネットで航空券を買えることがまず新鮮な経験だった。格安航空会社の航空券を旅行の2ヶ月前には予約していたのだと思うが、それにしてもベネツィアからイギリスのリーズ(留学していた町♪)までの航空券が空港税などを入れて一人20ポンドほどだったので考えられない安さだ。飛行機が本当に飛ぶのかと心配した覚えがある。
LCCの話はさておき、その2004年5月の旅行の話。母の希望でイタリア旅行にパリだけが付け足された10日間ほどの二人旅。当時Googleマップなどはもちろんなく、古風な紙の地図を頼りにヨーロッパの町を歩くのは、方向音痴のわたしには目をつぶって進む方向を決めるようなものだった。何度道に迷い、何度母と喧嘩し、何度ふてくされたか。悔しいのはそんなときに道を尋ねる人を選ぶ母のセンスだ。パリでその日泊まるホテルの場所を探して彷徨っていたとき、母が「あの人なら英語わかるんじゃない?」と言って指名したのはとてもハンサムなフランス人ビジネスマンだった。当然ここで英語で話しかけるのはわたし。そして母の選択は大体正しく、みんな英語も話せるし親切に教えてくれる。「格好良かったからあの人にしたんでしょ」というと「英語話せそうだったからだよ。でも可名が話している間見てたけど本当に素敵な人だったね。」ずるい。わたしもまじまじとイケメンを見たかった。一度道を聞くのが嫌になって「自分で聞いてよ!」と母にキレたことがあった。「いいよ。聞いてみるから。」と母は地元の人に「May I help you?」と話しかけそうになっていた。がっくり。喧嘩するのも笑って仲直りするのも旅の中だからこそ印象に残るのかもしれない。
イタリアでも何人もの人に助けられた。フィレンツェで通りかかった男性に道を聞いたときは行き先の名前の発音まで指導してくれた。ありがとう。きっと今のイタリア語学習に役立っています。逆にベネツィアのレストランではイタリア人ウェイターに日本語を教えた。彼はあの日を最後にそのレストランを辞めるのだと言っていたが今どうしているのだろう。教えた「まいうー!」は覚えているだろうか。
旅はどこから始まったのか。きっとこのイタリア旅行だったのだと今になって思う。色々な人に助けられ、助けを求めることが自然になり、言葉は通じなくてもコミュニケーションは成り立つのだと知った。留学して英語を習得しただけでは、きっと得られなかった異文化を学ぶ手段。そのヒントが旅にはある。イタリアで働いているわたし自身、これは旅の一部に過ぎないのではないかと思うことがある。「人生という旅」というと硬すぎるしくさいけれど、長い長い旅をしているように思えてならない。始まりはどこで、終わりはどこか。はっきりさせなくてもいい。道は途切れずに続いていく。
あさのさんぽ
イタリアで初めての書留郵便。仕事中で受け取れなかったんだけど、こちらでは再配達ではなく郵便局へ取りに行くシステムのようです。
遅くなると並ぶかなと思い土曜日にも拘わらず早起きして(と言っても8時)、知らない郵便局まで歩くこと20分。問題なく受け取れてほっ。
さてせっかく早起きしたんだし、朝を有意義に使ってみようと、まずは郵便局の近くのシチリアンバールでエスプレッソ。おいしそうなクリーム入りのクロワッサンがあった。朝ごはん食べてなければなぁ。
そのあとバスでちょっと知らないところまで(といっても住んでいるところからはそう遠くない)行ってみようと思い立ち、バスに乗車。
Sidoli Vanvitelli駅で降りて(スーパーを目指して)南へ歩く。
この車通りの少ない通り、Via Leopoldo Cicognaraにはミラノではめずらしくテラスハウスというのでしょうか、2階建ての隣同士がくっついた家が。しかもカラフル。隣のアパートの2階のテラスでは植物を丁寧に手入れするおばさんが。緑の世話が行き届いたテラスが綺麗で思わず話しかけそうになったけど、buongiornoの次にイタリア語で何て褒めたらいいかわからず断念。次回こそ!
そのまま歩いていくと今度はおいしそうなケーキ屋が。つくづく朝ごはんを食べてきたことを後悔。
たどり着いたPiazza Grandiをいつもと違う角度から眺める。
結局スーパーで買い物して帰ったのが11時ころ。知らない通りを通って頭をリフレッシュできました。あさのさんぽ、軽い運動がてら土曜日の日課にしようかな。
家でランチを食べて再び出かけた帰り、いつも通勤で使ってる駅の壁にアートが。しかも実物の自転車?!ミラノの冬はこんな感じなどんより曇りor霧だそうです。東京のカラッと晴れた秋・冬が懐かしい。
最後の写真は夕飯のフレッシュトマトとアンチョビのパスタ。唐辛子入りで辛く仕上げました。盛り付けもうちょっと頑張ればよかった。。。
新しい発見をした嬉しい土曜日。明日も楽しい日でありますように。
ジェラート中毒事件
イタリアと言えばやっぱりジェラート。1つのジェラート店から3歩歩けば次のジェラート店にたどり着くほど街はジェラート店で溢れています。
特に先週、先々週は日中25度を超す夏日(ってイタリアでは言わないと思うが)が続いたので、文字どおり老若男女誰もがジェラートを喉から手が出るほど求めていました。
日本でも絶大な人気を誇るジェラートですが、本場イタリアはそんじょそこらのジェラートとは格が違います。品格が!
ここで写真の一枚でも載せられれば説得力があるんでしょうが、写真無いです。
だって、肩にかばんを掛けて左手にジェラート、右手にスプーンを持っている状態でどうやって写真を撮れと?!写真を撮っている1分間でもあっという間に溶けていくジェラートをiPhone越しに見過ごせと?!
スミマセン、そのうち撮れたら撮ります。m(_ _)m
そのジェラートのフレーバーは一度に一口ずつ全部食べたいくらいどれもおいしそう。定番のチョコレート、ピスタチオ、ヨーグルト、バニラ、苺、バナナなどはもちろん、私の最近のお気に入りに見事ランクインしたのはチョコミントです!
今までそんなにファンじゃなかったけど、先日ドゥオモ付近のジェラート店で、出てくる人のほぼ85%がチョコミントを自由の女神ばりに高々と掲げて店から出てきていたので、これは絶対美味しいに違いない!と選んだチョコミントが絶品で発狂しそうでした。
チョコミントって、日本で食べるとチョコがうっすーいパリパリ状態でアイスにお邪魔してごめんなさい的に含まれているんですが、ここのチョコはちょこっと違う。文字で表現するのは難しい。まさにチョコがジェラートという山の上及び中にマグマのように流れているというか…
スミマセン、次回必ず写真撮ります。m(_ _)m
そんなジェラートの危険なところは、やっぱり甘いっていうところですよね。そりゃあ毎日食べてたらきっとお腹とか、背中とかの脂肪の肥やしとなることでしょう。
でもねぇ、食べたくなっちゃうのよこれが。
昨日はまた別のジェラート店でマダガスカルという濃厚チョコレートのジェラートを食べたんですが、もぉ悶絶。そのお店でもうすぐホワイトチョコのジェラートも出るらしく、こりゃ絶対カムバックするしかないっしょ!
と、じゃあ何がジェラート中毒事件かというと、結局は中毒になりかけたけど、今日必死にそれを食い止めたということです。単に、ジェラートを食べるのは週一回だけにしますという宣言です。
では、雨降りミラノの風景をお楽しみください。
イタリアナイズ
先日ミラノ市内でお客さんを訪問しました。日本から派遣されている彼はとても紳士的で、それでいて話がとても面白い方。忙しい時間帯とわかっていながら1時間半も居座ってしまった。
彼によると2年もミラノに居るとだんだんとイタリアナイズされてくるらしい。
- イタリア人のようにYシャツの下にアンダーシャツを着ない =>結果、冬場は寒くて風邪をひく。でもそろそろあったかくなってきたのでまた挑戦するらしい。
- イタリア人のように胸ポケットのないYシャツを着る =>結果、ペンなどを入れようとして、入れるポケットが無いことに拍子抜けする。
- ちょっと良いジャケットを着て日本に帰る =>結果、単身赴任で普段は離れている家族に会ったときに、「何イタリアナイズしてんの?」と突っ込まれる。
わたしがイタリアナイズしたところといえば、
- 飛行機に搭乗するときに、列にずる込みできるようになった。
- エスプレッソに砂糖だけを入れて飲めるようになった。
それくらいです、多分。もっとあったりして。
写真は先日行ったジェラート店で。犬の散歩に行くのにもしっかりとアイロンのかかったYシャツを着る。そして散歩の途中でジェラートを食べる。さすが。
<ミラノ通信> 最低の朝、でもイケメン@スーパーで回復
なんという朝でしょう
へとへとになりながらイタリアってこんななんだろうか…と思ったけど、同じ電車通勤の同僚も最悪最低だと言ってたので、こんなことはそうそうないのでしょう。気を取り直して仕事をし、夕方は大きなお気に入りのスーパー、esselungaへ。
こんなに大きなセロリが52セント(70円くらい)で、他にもモッツァレラチーズやワイン、アーティチョークのラビオリなど、欲しいものを色々買って30ユーロでした。esselunga様様!しかもレジのかっこいいお兄さんが、つたない英語で色々説明してくれました。ありがとうアルバイトのアルバートくん♪
やっぱり美味しいものを食べると元気が出るし、イライラも吹き飛ぶね。イギリスとは違います!
アルプスを越えて(飛行機で)
一年前は名古屋、今ロンドン
おととい、Facebookの「一年前の今日、あなたはこんな投稿をしました」という機能で、名古屋の夜景を撮った写真がトップ画面に現れた。そっかぁ、名古屋で短期間働いていたのはもう一年前になるんだ…なんてぼんやりと眺めていた。それで去年のツイッターの投稿などを読み返していたら、色々あったのに、ところどころでしか記録を残していないことに後悔。今年はこれからも怒涛の毎日になりそうだし、気づくこともたくさんあると思いブログ上で日記をつけることにした。
で、今日の日記。
ロンドンでの1ヶ月出張も今日で最後、明日はイタリアへ移る。ロンドンのオフィスではイギリス人の保守的なところやフレンドリーなのかフレンドリーじゃないのかわからないところに悩んだりしたけど、最後はちょっとしみじみした。イースター休暇(4月3日から6日)中に風邪をひき、休暇明けも2日も休んでしまい、同僚に「今週でロンドンオフィスに長期で滞在するのは最後です」と正式に言えなかった。まぁ、同僚の日常業務に入り込む必要もなく、ただ仮の席をいただいてそこで自分の仕事をしていただけだからしょうがないんだけど、私のことなど気にも留められるでもなく毎日時が流れて行ったような、そんなちょっと淋しい毎日だった。このオフィスで今回一番仲良くなったのが、カスタマーサービスをやっているシャーリー。彼女はイギリス人の中でも特にズバっとストレートにものを言うし、結構ぐさりと刺さることも平気で言う。でもそれが彼女の愛情表現なんだと最終日に改めて知った。彼女のあたたかい言葉。"You got a management position, and you found job you like, but you have to find love. You're too far from home. Find love." 彼女の言葉に泣きそうになった。
Find love、って簡単に言ってくれるけど私だって見つけたくないわけじゃない。見つけたい!
そんなFind loveについてぼんやりと考えていた時に、ホストのFlorと一緒に見たアメリカのリアル恋愛番組、Bachelorで主人公のBenが言っていた。"I appreciate you all to be open to me. I also try to open. It's important to deepen our relationships." わかってる。でもなかなか他人との壁を取り除くのが苦手でオープンになれない。海外に何度も行って、こっちで働いてるのに、オープンマインドにどうしてもなれない。
自分の意見がないから言えない?自分のやっていることを信じていないから他人に伝えられない?何が私の心をオープンにする邪魔をしているの?他人によく見られたいとかもてたいとか?
そんなもの全部捨てて、シャーリーのように思ったことをズバっと言ってもいいんじゃない。そうだ元彼が言ってたなぁ、"Words don't hurt you"って。
心で思ったことを言える、話せる。基本的なことだけどもっとその能力を高めたい。この日記がその助けにもなりますように。
(ちなみにFlorは"Finding love is difficult, but it is not impossible"と言っていた。格言!)